【CD】Verdi : Simon Boccanegra

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<演 奏>
Simon: Dmitri Hvorostovsky
Amelia/Maria: Barbara Frittoli
Fiesco/Andrea: Ildar Abdrazakov
Gabriele: Stefano Secco
Pietro: Kostas Smoriginas
Paolo: Marco Caria
Amelia's Maid: Egle Šidlauskaite
Captain: Kęstutis Alčauskis

Kaunas State Choir
Kaunas City Symphony Orchestra

Conductor: Constantine Orbelian


待望のホロストフスキー(Dima)のシモンがリリースされてすごく嬉しかったのに、4月に手に入れていたのに、なかなかゆっくり聴ける時間が取れなくて、とうとうこんな時期になってしまいました

DimaのCDを初めて聴く時は、ブックレットを片手に正座して・・・とまでは言わないけど、集中してじっくり聴くことに決めているので、オペラ全曲となると、なかなか時間を確保するのが難しいんですよね・・・・。

でも、ご存知のようにDimaは現在、脳腫瘍と闘っています。

Dimaを応援するためにも、これは是非とも彼の愛するシモンを聴かねば!と、頑張って少しずつ聴き始めました。

さて、最近DimaのCDはDELOSからだけでなく、ONDINEからもリリースされていますが、今回はDELOSからのリリース。

いや~、DELOSにしては(失礼?)なかなか力の入った仕事してくれてますよ~。
(写真がMETの公演のパクリということは大目に見よう

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で、全体を通しての感想ですが、改めてシモンはDimaに合った役だということを再認識。

彼が初めてシモンを歌ったのは、2006年のヒューストン・グランド・オペラでしたから、もう9年前のことになります。
この時の録音を持っていますが、とにかくDimaは念願のシモンを歌えるということで力入りまくってました(笑)
「そんなに頑張らんでも~」と思ったことを覚えています。

ただ、その時から彼の声に合った役だな・・とは思っていました。

まだ若かったですし、舞台姿や声はしっくりこないものもありましたが、その時彼が歌っていたヴェルディの諸役に比べて、声に無理な負担がかかっていないように感じたのです。
そして、彼の美しいレガートが活かされる貴重なヴェルディ・レパートリーでもありました。

ヴェルディの中では地味な作品だと思いますが、噛めば噛むほど味が出るというか、聴けば聴くほどその魅力にハマるとても美しい作品です。

その後、彼はサンフランシスコやパリでもシモンを歌い、2011年にはMETでシモンを歌う栄誉を得ます。
この時のシモンはレヴァインの指揮で、ラジオで聴いていても鳥肌が立つほどの名演でした。

私も2012年にウィーンで、念願だったDimaのシモンを観ることができました。
殊に、METの時と同じ、フルラネット演じるフィエスコとの3幕の二重唱は本当に感動的な歌唱で、Dimaのシモンにはフル様のフィエスコしかいない!と強く感じました。

今回は、そのウィーンの舞台の翌年に録音された最新版で、シモンに適した年齢と声になったDimaの、美しくも深みのある歌唱が堪能できます。

いや~、ホント、よくぞシモンを録音してくれました!
(映像で残ればもっと嬉しかったけどさー。)

ひと言ひと言に感情がこもっていて、彼が声を発する度に胸にぐぐぐっ!と迫り、いちいち感動してしまいます!

本当に素晴らしい!この人のファンで良かった!

Dimaはブックレットの中で、「評議会室の場面が特に好き」と述べています。
その理由を引用しておきます。

"His declamation is sharp and gripping. The music language is severe and dramatic. There are a lot of "cupo" phrases, sometimes sarcastic, sometimes powerfully assertive. Simon's address to the people, "Plebi! Patrizi! Popoli," is the creed of a great statesman. As he cries for peace and love, the whole crowd is swept along by the same surge of passion!"

「人の心を動かす」という点では、シモンの演説とDimaの歌も同じなのではないでしょうか。

Dimaのヴェルディはどれも好きですが、このシモンほど心を動かされる作品はないかもしれません。
1幕のアメリアとの二重唱も、Dima自身も好きな評議会室のシーンも、3幕のフィエスコとの和解の二重唱も、そしてシモンの死の場面も・・・・。

これだけ胸がいっぱいになって涙するシーンが多いのは、Dimaのヴェルディ・レパートリーには珍しいでしょう。

Dimaのシモンの決定版は2011年のMETのライヴ録音だと思いますが、ライヴの緊張感とはまた違い、録音ならではの落ち着いた歌唱が堪能でき、これはこれで貴重な録音になったと思います。

さて、Dimaのシモンばっかり語ってしまいましたが、そのほかのキャストについても触れておきます。

まず、アメリア(マリア)を歌ったフリットリ。

彼女はSFOでもMETでもDimaとシモンで共演してアメリアを歌っていますので、今回の録音に彼女がキャスティングされていたことは本当に喜ばしいこと。

なんといっても、彼女の声は気品があるのが魅力。

Dimaがヴェルディを歌う時は、どうしても爆音のソプラノが相手役にキャスティングされることが多いので、この「シモン」ではフリットリのような美声(そして彼女は大変な美人でもあります!)が相手役になってくれることも嬉しいですね♪

ガブリエーレのセッコは美声ではありますが、ちょっと物足りないかなぁ・・・・。

ガブリエーレって美しい曲がいくつもあって目立つので、華のあるテナーに歌ってほしい役でもあります。

パオロのCariaという人は初めてでしたが、これが残念でしたわ・・・・

なんで、そんなに一本調子なのぉ~!?
パオロはシモンに毒を盛るんだから、ある意味、物語のキーパーソン。
もっともっと演じてください!歌い上げてください!

そしてフィエスコを歌ったアブちゃんこと、アブドラザコフ。

アブちゃんファンの方には申し訳ないのですが、私はなぜ彼が、近年特別扱い(と、私は感じている)されているのかよくわかりません

いや、いい声ですよ。文句ないです。
正統派だし、癖はないし。
ベルカント歌ったらいいんじゃないかと・・・・。

でも、ヴェルディは、そしてフィエスコは・・・・
そりゃ、Dimaも「若すぎる」って言われ続けてきたし、あんまり言いたくない言葉ですが、やっぱりフィエスコやるには若いんですよね・・・。

Dimaがかなり深みのある声になってきてるから、それよりもっと貫録のあるバスでないとバランスがとれないというか・・・・。

フィエスコもシモンと同様、非常に複雑な役だと思いますが、アブちゃんのフィエスコはまだあんまり言葉に気持ちがこもってない印象。
既にフィエスコは歌っているそうですが、まだ歌い慣れていないのかな?

今回、リトアニアのカウナスのオケとコーラスが演奏を担当。
知らないな~と思っていたけど、悪くないです。
むしろコーラスなんか美しくて、ハッ!としちゃいました。

Dimaとの共演でお馴染みの、指揮のオルベリアンさん。

じっくり聴きたいところで、「おっと、そこそんなに焦っちゃう!?」ってとこはありましたけど、特に問題なく聴けました。
さすがにDimaのことよーくご存知で(笑)

一度じっくり集中して聴いた後は、何度も繰り返してBGMとして聴いていますよん






Verdi: Simon Bogganegra
Delos Records
2015-04-14
Verdi

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この記事へのコメント

花宴
2015年07月10日 23:32
娑羅さんのレビューを読んで、これは聴かねば!という気になっています(笑)♪ ......実はコレ、私も買うだけかって棚上げに(汗)。 シモンだとどうしてもメトのレコーディングを聴いちゃうんですよね......あれは何といってもフィエスコがフル様でシモンとのデュエットが山場でしたし、レヴァインの指揮がまた良くて奇跡の様なキャスティング。 アブちゃんはまだ若いですし、フィエスコはやはりフル様的な渋味が欲しいですが、このレコーディングはDIMAが発起人で想い入れ深いでしょうし、きちんと聴かないとね(滝汗)。 メト版、もう一度チャンス来ると良いのですが。 本当に、シモンボッカネグラに相応しい気品、これがDIMAの声にぴたっとハマるんですよね、ヴェルディとしてはエレガントな曲調も合いますし。 最後のマリアがまたロマンティックで良いな~♪ 
2015年07月11日 00:49
◆花宴さん
私のレビューは偏愛に満ちてますから~
あ、でもファンの方なら同じ気持ちですよね♪

アブちゃんの声は、私にとっていまいち決め手に欠けるというか、すぐに判別しにくいんですよね。
良くも悪くも個性がないような気も・・・

DimaはHGOやSFOで歌ったモシンスキーのプロダクションがお気に入りのようですが、ROHもモシンスキーのシモンを持ってませんでしたっけ?(替えてなければ)
でも、ROHではシモンを歌うことなさそうですね・・・

記事に書き忘れましたが、Dimaがシモンに合う理由の一つとして、声の温かさもあると思います。
彼の声は人を包み込む温かさがあって、実はそれがこのシモンで一番活きるのかもしれません。

花宴さんご指摘のロマンティックな面も同感!
「マリ~~ア・・・」心にきますよね