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zoom RSS 【METライブビューイング】マスネ:「ウェルテル」

<<   作成日時 : 2014/04/14 10:00   >>

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2014年4月14日(月)午前10時開演
MOVIX京都
【MET上演日:2014年3月15日】

<出 演>
ウェルテル....................ヨナス・カウフマン
シャルロット..................ソフィー・コッシュ
アルベール.....................デイヴィッド・ビズィッチ
ソフィー....................リゼット・オロペーサ
Bailiff....................Jonathan Summers
Schmidt....................Tony Stevenson
Johann.....................Philip Cokorinos
Kathchen...................Maya Lahyani
Brühlmann,..................Christopher Job
Hans.......................Richard Hausman
Gretel.....................Helena Abbott
Karl.......................Seth Ewing-Crystal
Clara......................Kiki Porter
Fritz......................Daniel Katzman
Max........................Thomas White

<指 揮>
アラン・アルタノグル

<演 出>
リチャード・エア


初ウェルテル!
日本語字幕があるので、今回も予習無しのぶっつけ本番で見てきました♪
なんか、予習しないほうが楽しめたりするんですよねー(笑)

しかし・・・カウフマン=ウェルテル怖すぎ!{
もう、これに尽きます!
3幕でシャルロットの部屋にバーン!とウェルテルが登場した時は、マジでビビりました
全編暗いし、みんな深刻でやりきれない・・・・

カウフマンが演じたからいいものの、ウェルテルってイケメンじゃなかったら、超気持ち悪くないですか?
一歩間違えたら、不快極まりない男ですよ・・・・。
「好きになってくれないなら死にます」なんて、めっちゃ迷惑だし、怖すぎ・・・・。

今回のウェルテルさん、人がいるところでも平気で(?)もだえ苦しんじゃってるし、みんなが楽しんでるところに、あんな陰気くさい人がいたら怪しまれまくりですよねー。

幕開きは7月の設定。
シャルロットの父に、その友人が
「7月なのにクリスマス・ソングの練習をしてるのか?」
と尋ねるところからもわかります。

そして、ウェルテルが自ら命を絶つのがクリスマスの夜。

ってことは、この話はたった5ヶ月ほどの間の出来事を描いているの?
なんて濃厚な5ヶ月なんでしょ!

1幕と2幕の間、3幕と4幕の間に間奏曲があり、それぞれ舞踏会のシーン、ウェルテルが自殺を決行するまでの葛藤を描いています。

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通常、こういう使われ方をする演出が多いのでしょうか?
なんせ初めて見るので、そのへんわからないのですが、いい効果を生んでいたと思います。

前奏曲では、いきなり女性が倒れ、そのまま葬列のシーンへ・・・。
え!な、何!?と思ったら、これはシャルロットの母が亡くなったことを表していました。

オペラの中でそれは明らかになるのですが、間奏曲も前奏曲も無駄にせず、お芝居を見せるあたり、さすがイギリスの舞台・映画監督さんですね。

そのせいか、見終わった後も、オペラを見たというよりは映画を見た感覚に近いものを感じました。

実は私、最後はウェルテルがピストル自殺を決行したところで終わるんだと思っていたので、間奏曲で血しぶきがビュッ!と飛んだ時にはビックリでした

そこからが4幕の始まりだったとは!

なので、ウェルテルさん、なかなか死んでくれない・・・

ま、これだけ暗くて救いようのない作品なので、最後は愛する人の腕の中で愛の言葉を聞けて良かったねーというところなんでしょうが、原作となるゲーテの「若きウェルテルの悩み」では、Wikiによると、

ウェルテルはそのピストルがシャルロッテの触れたものであることに対する感謝を遺書に記し、深夜12時の鐘とともに筆を置き、自殺を決行する。

ということ。
シャルロットは心痛のため、ウェルテルの葬儀に参列できなかったそうです。

やだ!こっちのほうが私は好きかも!
カウフマンほどのテナーだったら、4幕は独白で十分もつでしょう〜♪
で、引き金を引いて幕。
こっちのほうが劇的効果高そう。(残酷?)

ウェルテルはドアが開かないように、椅子の背もたれをドアノブにかませていたんだけど、シャルロットがわりと普通に部屋に入ってきたのには笑ってしまった。
もうちょっと開けるのに苦労してよ・・・

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そして、あのラスト。
いや〜、この悲劇には納得のエンディングでしょ〜。
シャルロットも、
「すべて終わった」
と言ってますしね。

しかし、そうなると、あのケースには2丁のピストルが入っていたということになりますね?
英語版のWikiには、

He writes to Albert asking for his two pistols,

という一文があるのですが、っていうことはウェルテルが2丁のピストルを頼んでいたということ?
それはなぜ?

さて、今やもっともチケットの取りにくいオペラスターになった感のあるカウフマン。
私はワーグナーが苦手なので、気がつけば、彼のパフォーマンスに接したのはずいぶん久しぶり。
(2011年のMET来日公演、楽しみにしてたのにー

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そのためか、第一声を聴いた瞬間、「え?こんなに低かったっけ?」と度肝を抜かれました。
て、てのーるだよね?

もちろん、カウフマンが普通のテナーと違う声の持ち主ということは重々承知していたのですが、久しぶりのお声は衝撃的でございました。

しかし、さすがに世間が大騒ぎするだけの人ではありますね。
3幕以降はもう、カウフマンに釘づけですわ・・・・。
こんなに熱い人でしたっけ?

有名な「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」、これは私にとってはクラウスのイメージが強く、クラウス様じゃなきゃダメ!って感じなのですが、カウフマンの歌い方はクラウスとは真逆と言ってもいいようなものなのに、この熱い歌い方が、むしろ切なさを感じさせました



演出のエア氏が、カウフマンのことを、
「アル・パチーノやロバート・デ・ニーロにも引けを取らない。さらに彼は歌えるのだ。」
と評していましたが、ホント、それは大袈裟じゃないかも。

3幕、シャルロッテが永遠の別れを告げて走り去った時の、カウフマン=ウェルテルの表情のアップは強烈でした。
こんな表情ができるなんて、すごい人だー。

シャルロットのコッシュ、恥ずかしながら、私は今まで名前も顔も全く知りませんでした。

その声に「え?この人ソプラノ?」と思ってしまったほど、メゾ特有のまろやかさがあまりなくて、やや細く、どちらかというと硬質な感じ。
そのためか、ちょっと神経質な印象。

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このシャルロットは当たり役だそうですが、さすがに彼女も大熱演でした。
1、2幕では、ウェルテルへのシャルロットの想いがいま一つわかりにくかったのですが、彼女のインタビューによると、シャルロットは3幕でウェルテルへの想いを確固たるものとするらしいので、そういう解釈だったのですね。

確かに3幕からのシャルロットは、1、2幕とは別人のように感情をあらわにします。
「手紙の歌」は伴奏したこともあるのですが、こうやってオペラ全編を通して聴くと・・・・とっても恐ろしい内容

こちら↓は、カラスが歌う「手紙の歌」ですが、歌詞が日本語訳で一つ一つ出るのでわかりやすいです。
これを見ながら聴いて、私はまた背筋がゾクッとしましたよ〜



コッシュは素晴らしいシャルロットだったとは思いますが、物足りなさを感じた部分も少しありました。

カウフマン=ウェルテルほどのイイ男が、文字通り命をかけて愛した女性にしては、その魅力にやや欠けるというか、少し地味な印象。
表情のバリエーションが乏しいようにも思いました。

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また、終幕でウェルテルを抱きしめる様子も、どこか息子を愛する母親のように見えるんですよね。
ただ、シャルロットは多くの弟妹の母親代わりを務めてきた女性ですし、ソプラノではなく、メゾが演じることからもそれが狙いなのかも?と思ったり。

そうなると、コッシュのシャルロットはまさに理想通りということか。
このへん、初ウェルテルの私にはよくわかりません。

もう一人、どうしても書いておきたいのが、ソフィーを演じたオロペーサ。

彼女を初めて見たのは、「つばめ」のリゼットだったと思うのですが、最近では「ファルスタッフ」のナンネッタも好演していましたし、今回のソフィーもすごく良かった〜。

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こういう、脇をしっかり固めてくれる人がいるというのは、やはりMETの強みの一つですね。

清楚な歌声ももちろんですが、彼女は表情のバリエーションが豊富で素晴らしい。
楽しそうにしていたかと思うと、パッと一瞬にして悲しげな表情になったり。

このドロドロ悲劇の中で、ソフィーによって癒されることもあり、彼女は唯一の救いでした。

この救いようのない悲劇を、マスネの音楽がさらに追い打ちをかけているようでした。
そう、音楽も良かったです!
マスネっていいじゃん♪

オペラに興味のない人も、この演出と出演者なら楽しめるのではないでしょうか。(いや、決して楽しくはないが・・・

ファイナルシーンより (※ラストのネタバレあり!)

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
いやぁ〜、私も初めて見たオペラでしたが、ど〜っと疲れました。。。暗いですよね。私もこれはお話だと思いながらも、自分の相手への愛を押しつけ続けるウェルテルは、いやな男だとうんざりでした。まして、愛してくれないなら自殺する〜なんて、まったく子供ですよね。

全体的に彼のシャルロッテへの愛と報われない悲しみ、苦悩を延々と描写するこのオペラを、正直もう一度見たいとは思いませんが、カウフマンあっての成功だということは認めます。確かに映像もうまく使っていて映画を見ているようでしたし、それなりに楽しめましたが、

マスネの音楽は美しいけど、ストーリーが単調だったことで、オペラとしてのおもしろさは全く感じませんでしたし、カウフマンは確かに凄い歌手、俳優顔負けの演技力、イケメンだけど、なぜかあまり感動しませんでした。ウェルテルという役柄に魅力を感じなかったせいかもしれません。

英語のWikiにピストルを彼が2丁欲してたとあるんですね。なぜ2丁なのか?1丁だとうまく作動しないかもという不安から???も、もしかしたら、自分の自殺を知った彼女が後を追ってくれるかもという期待?お、恐ろしいですね。それと、自殺した時のあの血しぶきがバ〜ッと壁に飛び散るトリックを知りたいです。
プリたん
2014/04/18 02:21
この系列の小説、意外と多いんですよね.......源氏物語の宇治十帖、クレーブの奥方とか狭き門とかね.......基本、手出ししない男ってダメよ(笑)。 マスネのウェルテールは、バリトンが歌う例もあるそうですが、DIMAは......いけそうなんだけど、向いてないかな(笑)? シャーロットに関してはコッシュが好きかな、ガランチャより向いてると思う。 あの長女っぽい感じが良いね(笑)。  
花宴
2014/04/18 09:30
残念なことに年度初めのバタバタと疲労でHDを見逃してしまったのですが、台本を読んでみるとゲーテの原作とは随分違いますね。
原作を読むとウェルテルの自殺の原因はシャルロッテへの失恋だけではないことがわかるのですが、オペラの方は「シャルロッテに振られたから自殺した」みたいな感じでちょっとね…と思います。
私も原作の終わり方の方が好きです。どちらにしても救いはない話ですが。

カウフマンはウェルテル似合いそうですね。というか、他のテノールではイメージしづらいです。

テレビで放送された折には見てみます。原作は好きなので比べてみたいです。
VERA
2014/04/18 23:31
◆プリたんさん
カウフマンのファンは、このウェルテルを見てどう感じるのかしら?
「こんな役やってほしくない」と思うのか、命がけの愛を訴えるヨナス様にメロメロになるのか
ファンの方のツイートを読んでると、メロメロのほうが圧倒的に多そうですが(笑)

見終わった後は、な〜んかモヤモヤして嫌な感じだったんですが、しばらくはウェルテル病になっちゃいました
家に帰ってYTで色々検索してみましたが、今回のこのプロダクションはかなり好きかも。
3幕以降はもう1回見たいかなぁ〜。

YTに全編上がってたので、血しぶきのトリックを見破りたいと思ったのですが、なかなか難しいですね。
血糊の場所を確認するかのように、カウフマンが慎重にピストルを当てていたこと、撃った瞬間舞台が暗転したことは確認できましたが。

暗転がキーポイントかもしれませんね。
娑羅
2014/04/18 23:49
◆花宴さん
>手出ししない男ってダメよ

きゃー、花宴さんったら
私はこのウェルテルで、キスという行為がこんなにも意味を持つのかと、ちょっと新鮮な感覚でした。
ウェルテルが3幕で、シャルロットも自分のことを愛していると実感した瞬間、解き放たれたかのようにキスするのを見て、ちょっと感動したんですよ
人妻を愛することは、こんなにも苦しいのねーと。

>ウェルテルのバリトン・バージョン

う〜む・・・我らが王子は、フランスものにはあまり関心がないようだし(-_-;)
耐え忍ぶ恋は似合わなさそう(笑)

ガランチャのシャルロット、YTで2005年の映像を見ましたけど、あんまりしっくりこなかったなぁ。
でも、もう10年近く経ってるわけだし、今演じると、きっとまた違うでしょうね。
カウフマンと美男美女のカップルで見たい気もします♪
娑羅
2014/04/19 00:00
◆VERAさん
おっと!見逃しちゃいましたか!
個人的には絶対おススメです♪
ま、あんまり夜には見ないほうがいいかもしれませんが

私も「イーゴリ公」は見逃しちゃったけど、これは一度マリインスキーで生の舞台も観てるし。
「ウェルテル」は見たことがなかったので、絶対見たいと思っていましたが、期待以上の出来でした

そうそう、原作では自殺の原因はもう少し複雑でしたよね・・・って、Wikiの受け売りなのですが

ウェルテル、アラーニャもいいらしいですね。
フランス語もお手の物でしょうし。
ただ、カウフマンは病的な感じが怖いぐらい似合うんですよ〜(笑)

ちょっと原作も読みたくなってきた〜。
でも、「ウェルテル効果」で自殺したくなったらどうしよう〜
娑羅
2014/04/19 00:08
カウフマンのウェルテルを楽しみに出かけました。
ストーカーとしか言い様のないウェルテル。
しかしイケメンカウフマンの演技と歌で一途な悩める青年に共感しそうに、、、
眼福、耳福、至福の時〜
カウフマンの生声を聴きたい〜
(わたしも2011年MET公演楽しみにしてたのに;今秋の来日公演には行けそうにないし;)

でも自分が年を重ねたせいか若者の真摯な想いに人間ドラマとしての深みが感じられなかったです。
ウェルテルの恋焦がれるシャルロットがわたしにはお姉さんどころかお母さんに見えてしまって歌は文句なしなんですが残念でした。
母に代わって兄弟たちの世話をしている立場だからヒロインだけどメゾソプラノだとか。
ソフィー(ソプラノ)が活き活きとして良いなと思っていたらやはりカーテンコールでたくさん拍手を貰っていましたね。
ミルクねこ
2014/04/19 22:52
◆ミルクねこさん
カウフマンは苦悩する姿が似合いますよねー♪
きっとファンの方々は、悩めるカウフマン(今回はウェルテルだけど)を見て、胸を痛めていらっしゃるんでしょうね。

やっぱりシャルロット、お母さんっぽく見えちゃいました?
そういう意図もあるのかもしれませんね。
ここまでウェルテルが愛するということは、母親への愛と似たものもあるのかも。

オロペーサちゃん、良かったですよね!
これからの活躍に期待です!
娑羅
2014/04/19 23:19
はじめまして。
偶然、ブログ記事を読んでしまい、最初から最後まで貴殿のリアクションになるほどお、と思いつつ思わず笑い転げてしまいました。最高です。
ロズモンド
2018/08/18 08:26
◆ロズモンドさん
はじめまして。
色々あって現在休止しているこのブログですが、ロズモンドさんのコメントでじ〜んときてしまい、また再開したくなってしまいました。
すごく嬉しかったです。ありがとうございました。
娑羅
2018/08/19 00:21

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