【TV】エクサン・プロバンス音楽祭 ヴェルディ:「椿姫」

画像



<出 演>

ヴィオレッタ・ヴァレリー..........ナタリー・デセイ
ジェルモン..........リュドヴィク・テジエ
アルフレード..........チャールズ・カストロノーヴォ
アンニーナ..........アデリーナ・スカラベルリ
フローラ・ベルヴォア..........シルヴィア・デ・ラ・ムエラ
ガストン子爵..........マヌエル・ヌニェス・カメリーノ
ドゥフォール男爵.........コスタス・スモリジナス
ドビニー侯爵...........アンドレア・マストローニ
グランヴィル...........マウリツィオ・ロ・ピッコロ

<指 揮> ルイ・ラングレ

<管弦楽> ロンドン交響楽団

<合 唱> エストニア・フィルハーモニー室内合唱団

<演 出> ジャン・フランソア・シヴァディエ

[収録:2011年7月大司教館中庭(エクサン・プロバンス)]('12/5/21 NHK BSプレミアムで放送)


デセイのヴィオレッタ・・・となると、つい先日見たMETの「椿姫」と比較したくなるというもの。

デセイ個人に限って言えば、METの時よりもこちらのほうがずっと声の調子がいいですし、彼女のキャラクターに合ったプロダクションだと思いますが、私の全体的な満足度としては、METのほうに軍配を上げます。

METのあの何もない舞台で、あれだけのドラマを見せられると、今回のこのプロダクションが逆にごちゃごちゃしているように感じ、また主要キャストのみならず、脇役にいたるまでMETのほうがそろえてきていて、チームワークも良かったです。
殊にグランヴィル医師とアンニーナは適役。

オケも、ルイージの指揮による隙のない音楽のほうが印象的。
今回のオケも悪いわけではありませんが、オペラの鍵となる2幕1場のヴィオレッタとジェルモンの二重唱が、ややあっさりと進んでしまったのは残念。

METのデッカー版では、徹底してヴィオレッタの孤独を描いていましたが、今回のシヴァディエ版もある意味ヴィオレッタを残酷に描いています。

3幕への前奏曲の間に、デセイ演じるヴィオレッタは舞台上で華やかなドレスから下着姿になるのですが、その際ウィッグまではずし、さらにアンニーナによって顔にゴールドのファンデーションを塗られます。
ここでデセイの顔がアップになるのですが、ウィッグの下の地毛がぺったんこなことや、ゴールドのファンデーションの効果で、一気に老けた印象を与えます。

画像


ジェルモンからの手紙を読む場面では眼鏡を使用していましたが、これは老眼鏡と理解していいのでしょうか?
さらに、登場したアルフレードは、変わり果てたヴィオレッタの姿を見て愕然とし、腰まで抜かす始末。
アンニーナがヴィオレッタに、「今日は本当にご気分がよろしいのですか?」と尋ねますが、アルフレードのほうが調子悪そうやん・・・

この2点は、ヴィオレッタが老け込むほど長い年月が経ったということを表しているのでしょうか?
それとも、眼鏡をかけたのは単に視力までもが衰えたから、アルフレードが腰を抜かすほど驚いたのも、ヴィオレッタが老け込んでいたからではなく、単にやつれ果てていたから・・・なのでしょうか?

そのへんがよくわかりませんでしたが、アルフレードが衝撃を受けすぎていて、ヴィオレッタとの再会を全く喜んでいないように見えたのが残念。
ここ、感動するところなんだけどな~

デセイのヴィオレッタは大熱演で、彼女の一人舞台といってもいいほどでした。
ただ、あまりの熱演のために、余命短い女性には見えなかったかも・・・・・。

画像


METの時は不調でしたが、逆に咳き込む姿にもリアリティーがありましたし、不調の中、渾身のパフォーマンスを見せる彼女と、命の限り生きようとするヴィオレッタがシンクロして、見てるこちらにも力が入ってしまい、結果としてある意味プラスの効果もありました。

とは言っても、デッカー版のヴィオレッタはほかのソプラノでもイメージできますが、このシヴァディエ版のヴィオレッタはデセイ以外ではちょっと想像できないほどハマってました。

目の下に入ったラメ入りアイラインやブロンドのウィッグなど、下品になりそうなギリギリのファッションを上手くこなしているのは、さすがにデセイですね。

対してアルフレードとジェルモンは、やや一本調子だったのが残念。
デセイの演技との間に温度差を感じてしまいました。

カストロノーヴォの声は私好みですし、若くてイケメンで役にも合っていたと思います。
2幕のカヴァレッタで、アクートをはずしてしまったのはもったいなかったけど。

画像


対してMETのポレンザーニの声はどうしても好きになれなかったし、イケメンではあるもののおっさん体型・・・・。

でも、映像を通して両者のアルフレードの演技を見ると、ポレンザーニのアルフレードのほうが満足度が高いんですよね~。不思議・・・・。
オペラって、やっぱり声と容姿だけではダメなんだな~と、改めて思いました。

テジエのジェルモンは、登場した瞬間「わかっ!(若い)」と思いましたが、今回のアルフレードがかなり若く見えるので、バランスとしては良かったのではないでしょうか。
しかし・・・・テジエってこんなに太ってましたっけ?
顔がずいぶんふくらんだような気が・・・・・。

ま、今回のようなお父さん役の場合、そのほうが貫禄があって似合いますけどね。
「田舎から出てきたお父さん」って感じもよく出てました。

画像


3幕では悔恨の表情が印象的だったのですが、肝心の2幕1場にあまりドラマが感じられず残念。
それと・・・・なんだかいつも眠そうな顔に見えてしまい、少々周りから浮いてしまっているような印象でした。
「ドン・カルロ」の、颯爽としたロドリーゴなんか似合うかも・・・と思いました。



La Traviata [DVD] [Import]
東芝EMI株式会社
2012-03-12
Verdi
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by La Traviata [DVD] [Import] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

花宴
2012年05月27日 07:26
私はARTEのネット限定公開の映像を観たのですが、デッセイの歌唱自体はこの時の方が、安定感がありましたね。 野外ですが、ステージ自体はさほど大きい感じもなくて、やはりMETの大箱の方がキツのかも? 衣装も彼女によく似合って、髪型もMETより良かったけれど、私も満足度としてはデッカーの方でした。 この演出、途中から何となく散漫になって装置のスタイルも統一感に欠けてくる気がして。 デッセイは女優歌手ですが、やはり彼女の個性としては哀しい主人公より、元気で明るいベルカントの方が輝く気がするんですよね。 親子シーンも、それなりの出来なのですが、やはりDimaとポレンザーニ君の緊迫感炸裂シーンを観てしまった後のせいか、印象に残らず......(汗)。 カストロボーノ君、来年のMETでは妻と競演で“ドンジョ”に出るはず。 因みに主役はアナちゃんのダンナ様です(笑)。  
花宴
2012年05月27日 14:17
再度お邪魔します.....訂正ありです(汗)。 来年のメトのドンジョ、タイトル役はアブドラザコフ君でした!! シュロットはレポレーロ! お許しを!!
2012年05月27日 22:51
■花宴さん
>この演出、途中から何となく散漫になって

わかります。
デッカー版のようにあれだけ何もない舞台だと、逆に自然と音楽やキャストに集中してしまうのですが、この演出だと集中力を削がれてしまうような気がします。

カストロノーヴォくんは「ドンジョ」でシウリーナちゃんと夫婦共演ですか!
彼、ルックスもいいし声も好きなので、もう一皮むけてくれると嬉しいんですけどねー。