Dmitri Hvorostovsky Recital~Part1

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2010年6月11日(金)午後7時30分開演
会場:Wigmore Hall

Dmitri Hvorostovsky.....baritone
Ivari Ilja.....piano

<曲 目>
Tchaikovsky
Again, as before,I am alone
The nightingale
The heroic deed
I opned the window
Don Juan's Serenade

Rachmaninov
A dream
As fair as day in blaze of noon
Do not sing for me, fair maiden
Oh no, I beg you, do not leave!

Tchaikovsky
Reconciliation
A tear trembles
No, only the heart
The fearful moment

Rachmaninov
When yeseterday we met
In the silence of the secret night
He has taken all from me
An excerpt from Musset-Loneliness
Christ is risen

Encores:
Rachmaninov:I was with her
Tchaikovsky:Serenade(O,Child, Beneath thy window)
Tchaikovsky:In the midst of the ball


残念ながらネット上では、リサイタルのReviewは見つかれど写真が見つからず。
でも、何も写真を載せないわけにはいかな~い・・ということで、彼のオフィシャルサイトにupされていた、最新フォトからいただいてきちゃいました♪
これ、BBC Music Magazineのために撮影されたものだと思います。
えらそ~な写真ですね

私には一つの夢がありました。
それは、『ホロストフスキーのロシア歌曲リサイタルを、カーネギーホールで聴く』ということ。

その夢が、2008年に叶いそうになりました。

ホロストフスキーは、3月にシカゴ・リリック・オペラで「エフゲニー・オネーギン」に10公演出演予定で、その後NYに移動し、カーネギーホールでリサイタル・・というスケジュールが入っていたのです。
私もオネーギンの楽日に合わせてシカゴに入れば、オネーギンを観て、その後NYに移動してカーネギーのリサイタルも聴ける!
そんな計画を立てました。

しかし、そんなにうまく事は運ばず・・・・。
彼はシカゴのオネーギンを、後半5公演キャンセルしてしまったのです
オネーギンをとるかリサイタルをとるか。
ずいぶん悩みましたが、リサイタルは1回きり。オペラなら2回は観られる。
そう思い、オネーギンを2回観ることにしました。

しかし、このカーネギーのリサイタルのプログラムは、その後エジンバラやラヴィニア音楽祭でも歌われ、それらはラジオで聴くことができたのですが、とてもいい選曲でしたし、実際カーネギーのリサイタルも大変な好評で、聴きに行った人も大絶賛していたので、やっぱり行けば良かった~ととても後悔しました

オペラと違い、リサイタルは同じ都市で2回続けて歌うことは少ないですし、海外から聴きに行くものとしては、その日程に合わせることがなかなか難しいです。

カーネギーがダメなら、できるだけ小さなホールでリサイタルを聴いてみたい!
NHKで放送された「ロシアン・ロマンス」みたいにサロン風のところで聴けたら最高だけど、それはまぁ無理として。

なので、このウィグモアホールでのリサイタルが発表になった時は、PCの前で「ひゃ!」と声を出してしまいました。
何しろ600席ほどのホールですから、ここで聴けたら本当に贅沢なことです。

実際、このうえない贅沢な、そして素晴らしいリサイタルとなりました。
いや、【素晴らしい】なんて言葉じゃ生ぬるい!
ホロストフスキーは本当にすごい歌手だと思います!もっと評価されて然るべき!

もっと早くレポを書き上げたかったのですが、私の貧困なボキャブラリーではこのリサイタルの素晴らしさをお伝えするのが難しく、いろいろ書き直しているうちに時間がどんどん経ってしまいました
上手く伝えられないなら、いっそのこと何も書かずに自分の中でしまっておいたほうがいいかも・・とも思いましたが、こんな稚拙な文章から何か少しでも彼の素晴らしさが伝わればとっても嬉しいです。

開演前、ホールの男性スタッフがマイクを持って登場。
おそらく、「携帯電話の電源を切れ」「撮影や録音をするな」といった注意をしているんだと思いますが、英語なのでよくわかりません。
時折会場から笑い声が起こっても、内容がわからないので笑えない私

もう一つ、「1グループの演奏が終わるまで拍手をするな」という注意が・・・。
「1曲ずつ拍手をするな」ということですね。
ラジオ放送やTVでは、彼のリサイタルはほとんどいつも1曲ずつ拍手が入っているので、この注意には少しびっくり。
もしかして、今日はかなり大事なリサイタル?と、こちらにも緊張が走ります。

そして、いよいよホロストフスキーが登場!
わぉ、すごい拍手!ロンドンの人達に愛されているんだなぁ。嬉しい~。
な~んか、めっちゃニコニコしてる~。カワイイ~
彼のこの笑顔が大好き~

今日の衣装は、最近よく着ているタキシード風なのですが、ライトの加減か色が紫っぽく見えました。
上着は光沢があって、よく見るとストライプが入っています。
蝶ネクタイは黒。ふふふ、赤は評判悪かったもんね

どこかに同じような衣装着てる写真ないかな~と探したところ、今年の4月にモスクワであったVienna Ballにゲスト出演した時の衣装が同じっぽい。
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今回のプログラムは、約20年前にリリースされたCD『Russian Romances』と全く同じ選曲&曲順。
なぜ、今このCDと同じプログラム?
それは、あとからわかったのですが、この日は彼のデビュー20周年を記念したリサイタルだったのです!
20年前、彼はこのウィグモアホールで同じプログラムを歌って、リサイタルデビューを果たしていたとのこと。
だからでしょうか、今日の彼はいつにも増して気合いが入っていました。

さらにプログラムを見ると、今日のリサイタルを、先ごろ亡くなったロシアのメゾ・ソプラノ、イリーナ・アルヒーポワに捧げる・・と書いてありました。
私は恥ずかしながらアルヒーポワの歌を聴いたことがありませんし、詳しくは存じ上げないのですが、ホロストフスキーは彼女に見出されたということなので、彼にとっては恩人にあたる存在なのだと思います。

ここから先、日本語訳や曲の解説に関しては、梅丘歌曲会館「詩と音楽」さんを参考にさせていただきました。
この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。

1.チャイコフスキー:「ふたたび昔のように」
目をつぶって集中するホロストフスキー。前奏が響き渡る・・・とそこへ電子音が・・・・!
彼は目をつぶったまま一瞬顔をしかめましたが、そのまま歌い始めました。

1曲目から声がよく出ています。
それもそのはず(?)、この日彼は開演30分前までステージでアップしていたのです。
私達は開演45分前に会場についていたのですが(張り切りすぎ?)、ロビーにいたら、彼の声が扉の向こうから聴こえてくるではありませんか!
客席へ入る扉の前には男性スタッフが立っていて、まだ客席には入れない状態。
ってことは、彼は中でまだアップしているということ。
扉の向こうから、ものすごい迫力で聴こえてくる声に既に感動~。

2.チャイコフスキー:「ナイチンゲール」
まだ2曲目だというのに、ものすごい声量・・・。
今日の彼は何かが違う!と強く感じた1曲でした。

3.チャイコフスキー:「勲功」
タイトルの“Подвиг”は日本語に訳すのが難しいそうです。
初めて聴いた時は重苦しく地味な感じで、それほど印象に残るものではなかったのですが、このリサイタルのために、先述の「詩と音楽」さんに載っていた日本語訳と解説を読みながら聴いているうちに、この重たさがなんともいえず心にくるようになりました。
【信念を持って貫き通すこと】の難しさ。
特に社会に出て働いている男性の皆さんは、共感できるものがあるのではないでしょうか。

ホロストフスキーはますます声が出るようになり、「勲功は~の上をはるかに越えて」というフレーズが何回か出てきますが、最後の“выше”はG音でしょうか、ここは鳥肌がたつような声でした。
前の席で一生懸命対訳を読んでいたおじさん達が、ここで一斉に顔をあげたほど(笑)

この日の彼は、高音が実に美しく決まっていました。
最近高音がつらそうだな~と思うことが多かったのですが、そんなことを忘れさせてくれるほどに、どの音も実に鮮やかでした。
そして、そんな声を出すたびにおじさん達が一斉に顔を上げる(笑)

4.チャイコフスキー:「私は窓を開けた」
シリアスな曲が3曲続きましたが、ここで少しリラックスした表情が見られました。
短い曲ですが、さわやかなピアノの音色、彼の表情と歌声が、穏やかな春を思わせてくれます。

5.チャイコフスキー:「ドンファンのセレナード」
ひゃ~、顔が変わった~。ドンファンの顔になってる~。
歌曲のリサイタルって、数分毎に気持ちを入れ替えなくちゃいけないし、ある意味オペラよりも集中力を要すると思うのですが、彼はこの切り替えが上手いですね。
曲間をそんなに空けるほうじゃないし、今回は拍手も入らないので1グループ(4~5曲)ずっと集中している感じ。

モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」はもう歌わないそうだけど、この「ドンファンのセレナード」は歌い続けてほしいな。
ちょっとこの日はラストの“Скорей на балкон! ”が気合入りすぎで、またしても大声量だったので、そんな迫力で「早くバルコニーに出ておいで!」と言われても、ニセータちゃん怖くて出られないよ・・と思っちゃいました

ここで1グループが終わり、拍手の中いったん退場。
ふふふ、ドアが開く前に自分で押し開けようとしてる~。せっかちなんだから~
これ、退場する度にやってました。
舞台小さいし、出入り口まですぐですしね。

そうそう、ウィグモアホールは写真撮影が厳しいらしいので内部は撮影してないのですが、ネットからいただいてきちゃいました。こんな感じです。
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舞台狭いですよね。ステージの後ろに扉が2つ見えますが、向かって右側の扉から出入りしてました。

6.ラフマニノフ:「夢」
わずか1分半ほどの短い曲ですが、本当に美しい曲です。
この曲は絶対に硬い声で歌ってはダメだと思います。
彼の声は本当に柔らかく、短い曲でも陶酔させてくれます。
後奏でピアニストのイリヤさんが、ちょろっとミスタッチ。
目をつぶって聴いていたホロストフスキー、目をつぶったままニヤッと笑っていました。

7.ラフマニノフ:「彼女は真昼のように美しい」
静かな海を思わせるゆらゆら~っとした伴奏にのり、先の「夢」に続いて静かな繊細な表現が胸に響きました。

8.ラフマニノフ:「歌わないでくれ、乙女よ、私に」

ほかにもあったかもしれませんが、この曲はCD『Russian Romances』の時よりキーを下げているのが確認できました。
最近リリースされた『Pushkin Romances』も、この半音下げた調性で歌われているようです。
特に高い音があるわけではないし、それほど音程に幅がある曲とも思えないんですが、だからこそ最も自分の声が活かせるキーにしたのかも。
ちょっとエキゾチックなメロディーが印象的な曲です。

8.ラフマニノフ:「いや、お願いだ、行かないでくれ!」
これ、すっごく良かった!
胸が苦しくなるほど、ぐぐ~っと迫るものがありました。
これも本当に短い曲なのですが、愛する女性に「行かないでくれ!」と懇願する内容で、気持ちが入ってないと何も伝わらないし、やりすぎても聴いてるほうが引いてしまうかもしれない。
そのへん、実に上手かったと思います。
「“愛してる”と言ってくれ」というところがあるのですが、“Скажи:≪Люблю≫”の“りゅぶりゅー”(=I love you)がとても優しく歌われていてドキッとするほど。すっごく良かったです。

そして、最後の“O,будь со мной, не уходи!”(=私といてくれ、行かないでくれ!)を2回繰り返すところ、泣けた~~~!!
こんなセリフ、実生活で言ったことあるのかしら?言われたことはあるでしょうけどね♪

ここで休憩。時計を見るとまだ30分ほどしか経っていない!
拍手が入らない分、さっさと進んでるのか?
しかし濃い~30分です。

長くなってきたので、後半はPart2へ続きます。


Russian Romances
Polygram Records
1991-05-10

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この記事へのコメント

Dama
2010年07月04日 20:37
感謝、感謝です、声が聴こえてくる、そこで歌っている感動が娑羅さんの心臓の鼓動が聞こえる。読みながら、メロディーが、流れてきます。そんな文章です。Part2楽しみにしています。
りょー
2010年07月04日 21:45
わたしも、続き、待ってます。
2010年07月05日 13:08
■Damaさん
嬉しいお言葉をありがとうございます
ファンの方に、少しでも感動を分かち合ってもらえたら・・そういう思いもありますので、そう言っていただけて本当に嬉しいです。

■りょーさん
読んでくださってありがとうございます!
Part2も書き上げました。
相変わらずまとまりのないレポですが、読んでいただければ嬉しいです