【METライブビューイング】ベルリオーズ:ファウストの劫罰

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2008年12月15日(月)午前11時開演
会場:MOVIX京都

<出 演>
マルグリット:スーザン・グラハム
ファウスト:マルチェッロ・ジョルダーニ
メフィストフェレス:ジョン・レリエ
ブランデル:パトリック・カールフィッツィ

<指 揮>
ジェイムズ・レヴァイン

<演 出>
ロベール・ルパージュ

<振 付>
ヨハネ・マドール、アラン・ゴティエ


き~~っ!なんで、よりによって一番楽しみにしていた「ファウストの劫罰」で、こんなことに~~!

まるで、静電気によってショートを起こしたかのように、画面が一瞬途切れることが20回ぐらいありました。
ほんの一瞬のことだし、音声は途切れなかったけど、大画面だけにすっごくビックリするし、また起きるんじゃないか・・と、ハラハラしてしまい、なんとなく落ち着きませんでした。
結局、最初から最後まで、このぶちっ!は続いたのでした。
しくしく・・・・

ま、それはおいといて。
いや~、面白かった!!
今回、初めてこの作品を知ったのですが、知ることができて良かったという思いです。

11月の終わりに、ウェブラジオから音声だけは先に聴いていたのですが、音楽だけでもじゅうぶん楽しめました。
オペラではなく、《劇的物語》という言葉が使われており、演奏会形式で上演されることが多いらしいのですが、今回のように、《オペラ》として上演することもあるそうです。

ただ、やはり純粋なオペラに比べると「歌わない場面」が多く、そこをどのように演出するのかが、演出家の腕の見せ所になると思われます。

今回のルパージュの演出は、最先端の映像を駆使したもの・・ということで、大きな話題をよんでいましたが、'01年のサイトウ・キネン・フェスティバル、その後パリ・オペラ座で既に上演されたものだったようです。
実際、私の持ってる、ぴあ発行の 「オペラワンダーランド」という雑誌で、「ファウストの劫罰」のページをめくると、このルパージュの演出による、サイトウ・キネンの舞台写真が使われているではありませんか!
おぉ~、メフィストフェレスの衣装も同じだ~。

オススメDVDの欄には、「このルパージュ演出版が映像であれば面白いのだが、残念ながら未映像化。」と書かれていました。
それでは、METのこの舞台、DVDにしちゃいましょう♪

主要歌手は、ファウスト、メフィストフェレス、マルグリート、そして「ねずみの歌」を歌う学生ブランデルの4人。
ジョルダーニのファウストは悪くないんだけど、とりたてて印象には残らなかったのが残念。
正面から見るとわからなかったけど、横から見ると上半身がものすごく巨大で、まるでコントで相撲取りの着ぐるみを着たよう・・・・。←暴言ですな。
この人、こんなに横に大きかったっけ?着太りしてる?
だって、この写真↓と、ずいぶんイメージ違ったよ・・・・。“写真に偽りあり”じゃないかい?
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イタリア歌劇団来日公演で、グノーの「ファウスト」を歌っていたクラウスが、すっと手を差し出すだけでも気品が感じられた、あの姿が印象に残っているので、ジョルダーニの歩き方の野暮ったさとのギャップがどうも・・・・って、クラウスと比べてはいけない?

声に関しては、高音をフォルテで出す時は、わりと頑張っていたと思うけど(これも失礼な言い方やな・・・)、低音や弱音になると、ちょっとへろへろ~となるのが惜しい感じ。
でも、悪くはないんです。及第点には達してる。
だけど、この公演、レリエー>グラハム>ジョルダーニ(レリエーは、私の愛が入ってる分、評価がupしております)という図式になってるから、ほかの2人が素晴らしすぎちゃって、どうしてもジョルダーニは損しちゃうのであります。

グラハムのマルグリットは泣けた~。
彼女の声は、本当に心地いいです。癒されます。暖かい気持ちになれます。母性を感じます。
あ~、こういう声、歌い方があるのかぁ~。
節度を保ち、決してオーバーにやりすぎない、でも地味でもない。
派手な演技はしないけど、マルグリットの気持ちが、じわ~っと伝わってくるのです。
大柄な彼女なので、清純な乙女を演じるのは難しいかなぁと思いましたが、共演者も大きかったし(笑)、セットも巨大だったし、そういうのは気にならなかったです。

レリエーのメフィストフェレスは、ひとことで言ってカッコ良すぎ!
悪魔役は似合うと思っていたけど、まさかここまでハマるとは・・・。
写真で見た時は、ちょっと変な衣装?と思っていたけど、映像で見たらこの衣装が似合ってるから不思議。
着こなしちゃってるんですよね~。
あの触覚みたいなのが“カワイイ”と思った私は、相当な病気でしょうか?
しかし、かなり暑そうな感じで、レリエーも額に相当汗かいていました。

いつかグノーの「ファウスト」で見たいと思っていたメフィストフェレス役だけど、ひょんなことから、このベルリオーズ版で見るのが先になりました。
ファンになって約1年半。
今まで、ファンになるきっかけとなったたバジリオ(セビリアの理髪師)、ジョルジオ(清教徒)、バンクォー(マクベス)と見てきたけど、このメフィストフェレスが最高!
背が高いから存在感があるし、あの声の迫力は、やっぱり悪魔の声だな(笑)
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ファウストやマルグリットが、メフィストフェレスの目について語る言葉がありますが、「残忍な目つき」「見られると心臓が引き裂かれそう」といった表現が、ピタリと当てはまるほど、レリエーの目の演技に圧倒されました。
この人、本当に悪魔じゃないかしら
イエローグリーンの目の光が、本当にすごかった。
彼の顔がアップになると、その表情に魅入ってしまい、字幕が読めなくなるほど(笑)

昔、日本人の某バス歌手が、「バスなんて、悪魔とかじいさんとかの役ばっかりで、俺より明らかに背も小さくて、容姿も劣るような男が、テノールというだけで、ソプラノといちゃいちゃする役ばっかりもらえる!」とぼやいていたのを聞いたことがありますが、どうしてどうして!悪魔役いいじゃないですか!
悪魔でも、しっかり女性のハートを掴むことができますよぉ
現に、今、オペラ界には、低音歌手のほうがイイ男が多くないですか?

ところで、昨シーズンまで、彼のラストネームは、レイリーだったりリライアだったり・・と、全然統一されていなかったのですが、今回“レリエ”となってるではありませんか~。
これは嬉しかったですねー。彼の名前の発音は、レリエ(またはレリエー)が一番近いようなので。

作品は、4部構成+エピローグとなっていますが、今回のMETでの上演は、第1部と第2部を第1幕、後半を第2幕としていました。

まず、マルグリットを演じるグラハムが、舞台袖で進行役を務めます。
「私の出番は2幕からなので、開演後に準備します。」と言っていたけど、かなりビックリ!
そしてレヴァインがピットに。
病気だったと聞いていましたが、この映像を見る限りでは元気そうだったので安心しました。

<第1部>
序曲も前奏曲もなく、いきなりファウストの独唱から始まります。
舞台には、工事現場の足場のような組み立てがあり、それらが映像によって場面転換していきます。
大掛かりなセットの転換はしなくとも、映像のみで変化がつけられる仕組みです。

老博士ファウストが登場。
初め、バックには大量の書物が並んでいるのですが、やがてそれは鳥たちの羽ばたきの映像へと変わります。
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ファウストの「過ぎ行く冬は、春に道をゆずり」が終わり、次の《農民達のロンド》に入るまでの音楽が美しいです。

合唱が大活躍する作品でもあるのですが、今回の合唱、殊に男声合唱は圧巻でした。
合唱指揮者が、カーテンコールで喝采を浴びていたのも頷けます。

《ラコッツィ行進曲》はいいですね♪これを聴いているとワクワクします。
この場面では、兵士達と村の女性達が、段違いで後ろ向きに歩いていくのが印象的。
出征する兵士、それを見送る女性・・といった図式が出来上がっていました。

<第2部>
老博士ファウストは、人生に絶望し毒杯をあおろうとしますが、その時、復活祭の合唱が聞こえてきて思いとどまります。
ここで、十字架にかけられたキリストが登場するのですが、最初は作り物だと思っていました。
しかし!これは人間が演じていたのです!これにはビックリ!
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キリストを人間に演じさせるというのは、キリスト教徒にとっては、非常に難しい問題があるのではないでしょうか。
映画「ベン・ハー」でも、キリストは後ろ向きに撮影され、俳優の顔は映らなかった記憶があります。

復活祭の合唱とファウストの独白が重なり、美しい音楽が奏でられます。
と、ガラッと曲調が変わり、悪魔メフィストフェレスが登場!
その瞬間、十字架にかけられたキリスト達が、一斉にクルッ!と後ろに回転して姿が消えるのが面白い!

いよいよ、レリエーのメフィストフェレスの登場。彼によって、場面の雰囲気が一変しました。
あ~~、すごい声だぁ。この声に惚れたんだった~。
おぉ~、身が軽い!彼自身、ノリにのってる感じ。楽しそう~(笑)

メフィストフェレスに連れられて、ファウストはアウエルバッハの地下酒場へ。
酒場に現れたファウストは、既に若返っていて「はやっ!」とビックリ。
グノー版のように、若返るシーンが劇的に演出されるわけではないのね。

ここの合唱も、すっごい迫力で圧倒されました。
アーメンのフーガは素晴らしい!
ブランデルが「ねずみの歌」を歌っている時、横にいる女性がソフィー・マルソーに似た美女で気になりました。
そういえば、彼女は「サロメ」にも出ていなかったか?

続いて、メフィストフェレスが歌う「蚤の歌」。
ラジオで聴いている時から、彼の声の魅力にとりつかれていたけど、こうやって歌ってる姿を見たら、ますます惚れまくり~
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ホロストフスキーが、ムソルグスキーの「死の歌と踊り」で死神を歌った時は、恍惚となり、彼の死神に自然とついて行ってしまいそうだったけど、レリエーのメフィストフェレスは、自分のほうから「地獄へ連れてって~!」と迫りたくなるほど(笑)

彼は圧倒的な声を持っているけど、歌い方はいたって堅実で、一音一音、そして言葉をとても大事にしている。
そこがまた魅力的だと思います。
まだ若いから(生年月日非公表みたいだけど、多分30代半ばぐらい)、高音も張りがあって素晴らしいんだけど、やっぱり低音の、こちらの胸に突き刺すようなあの声が絶品。

酒場の下品な雰囲気になじめないファウストに、メフィストフェレスは、次なる場所へと案内します。
ここで2人は、ゴンドラに乗って登場。
水面の様子も、映像で本物のように映し出されます。
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ここでメフィストフェレスが、“今宵、バラはここに花開き”と、宗教曲のような静かなアリアを歌いますが、こういうのもレリエーは上手い。
さっきまでの、パンチのある歌い方と全く違い、これも魅力的。
彼自身、レクイエムなどのソリストも歌っていますし、そういうのが活かされてるのかもしれません。

スクリーンには、マルグリットの大きな肖像が映し出され、ファウストが彼女の幻を見ていることがわかります。
すると、ゴンドラが傾き、ファウストは水中にまっさかさま!
この写真↓は、ここの場面だったのですね。
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《妖精の踊り》として演奏されるところでは、水中でファウストとマルグリットが戯れてるような映像が映し出され、とても幻想的でした。
あれは人形のようにも見えましたが、どのように撮影されているんでしょうか?

すっかりマルグリットの幻影に魅せられたファウストは、メフィストフェレスに連れられて、彼女の寝室まで行くことに。
ここで、兵士と学生たちの合唱。
兵士は「娘も街もてこずらせるが、どちらもあっという間に陥落さ」と歌い、学生も「人生は短い!さあ、酒と女の時間だ!」と、どちらも女性を手に入れようとする意気込み(?)を語っており、これからマルグリットのもとを訪れようとするファウストの心境と重なります。

ここでの演出が面白かった!
下に女性達が椅子に座って並び、そこへワイヤーで吊るされた兵士達が、女性の膝に向かって、仰向けに降りてきます。
しかし、すぐに兵士達はまたワイヤーによって引き上げられるのですが、その時、下の写真のように、垂直に上っていくのです!
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兵士が歩くと、スクリーンに映っている草むらも動き、まるで本当に歩いているよう。
この、上がり下がりが繰り返されるのですが、兵士の人たち、相当大変じゃないかしら・・・・。
いくら吊るされてるとは言っても、腹筋とか背筋とか使いますよね!?

ここで1幕が終了し、休憩に入ります。
グラハムに代わり、ハンプソンがホスト役を務め、ジョルダーニとレリエーにインタビュー。
ハンプソンって、レリエーより背が高いんだ!?

きゃ~、レリエーのインタビューだよ~ん♪
ラジオでは何回も聞いていたけど、こうやって映像でインタビューが聞けるのって嬉しい~。
メフィストフェレスのメイクのままだから、目が怖いけど、なんだか真面目そう~。
ハンプソンの質問には、いつもジョルダーニに先に譲り、控えめな感じ。
だから、ジョルダーニのほうがよく喋っていて、カメラも彼がアップになることが多く、私は「カメラ~、もう少し左へよって~。」と、心の中で叫んでおりました。

休憩が終わると、これから登場するマルグリット役のグラハムが、ハンプソンのインタビューに応じます。
ひえ~、出番直前にインタビューですか。
グラハム、この作品への想いを熱く語っちゃっていて、喉は大丈夫かしら?と、こちらが心配になってしまいます。

<第3部>
工事現場の足場風セットが、今度はマルグリットの屋敷へと変わります。お見事。
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ようやくマルグリットが登場。
昨晩見た夢の中に現れた男性(=ファウスト)への想いを歌い、その後バラード「トゥーレの王」が続きます。
この「トゥーレの王」、3番まで同じメロディーがくり返される、いたってシンプルな構成になっていますが、グラハムの歌は心にきました。

そういえば、マルグリットには、この「トゥーレの王」と、第4場で歌われる有名なロマンス「激しい炎のような恋」と、2曲の聴かせ場がありますが、このライブビューイング収録日には、どちらも拍手がなかったような・・・・。
1週間後のラジオ放送では、どちらも拍手が入っていたので、「お?」と思いました。
もしかしたら、METのお客さんたちが、拍手を忘れるほど聞き惚れてしまったのかもしれません。
拍手するのをためらうような、厳かな雰囲気が両曲共にありました。

マルグリットが退場すると、メフィストフェレスが登場し、鬼火達を呼び寄せ、《鬼火のメヌエット》が始まります。
白いドレスを着たきれいなお姉さま達が、鬼火のダンスを披露。
この《鬼火のメヌエット》は、ラジオ放送で音楽だけ聴いていても、かなりわくわくするような音楽で、振付意欲を高めてくれるものだと思ったので、どのようなバレエになっているのか、ライブビューイングで見るのを楽しみにしていました。
 
が・・・個人的にはう~む・・・という感じでした。
そりゃ、あのセットの中で踊るとなると、かなりの制約があるとは思いますが、はっきり言って“バレエ”ではなかった。“ダンス”ではあったけど。
特に、ラストでテンポが速くなったあたりは、女性が髪を振り乱してるだけ・・って感じの振りで、あの音楽でこの振りかよぉ~と、ちょっと不満にも思ったのであります。
でも、メフィストフェレスの手下達が、鬼火のお姉さま達に絡んでくるのは、なかなか面白い趣向だと思いました♪
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そして、鬼火のお姉さま達を、不敵な笑みを浮かべながら眺めているメフィスト=レリエーが、やっぱりカッコいい!

続いて、メフィストフェレスによるセレナード。
あ~~・・・カッコいい・・・・。←そればっかりですみません。でも、本当にカッコいいの!
それでいて、歌は本当に上手い。
楽譜にある音符を、崩さずに一音一音きちんと歌ってる。
言葉だって、すごく丁寧。言葉と音が一体になってる。
丁寧なんだけど、ただ几帳面で面白くないなんてことはなく、そこに、彼のカラー(個性)がちゃんと出ています。

いよいよ、ファウストとマルグリットが出会います。ここでの愛の二重唱は美しい~。
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ジョルダーニは、ラジオ放送ではアクートを2回とも決めていましたが、この日は、2回目がちょっと割れちゃって残念。

2人が逢瀬を楽しんでいると、メフィストが乱入。
近所の人が気づいて、マルグリットの母を呼びに行っている。早くここから逃げなくては!とのこと。
近所の人たちは、「ほら、色男がいるよ!すぐに新しい家族が増えるぞ!」などと歌い、そこにファウスト、マルグリット、メフィストフェレスの三重唱がかぶってきます。
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実は私、この第3部のフィナーレが大好きなんです。
緊迫した音楽も素晴らしいですが、よく考えたら、3人が一緒に歌うシーンって、ここだけなんじゃないかしら?
ファウストは愛によって生きる喜びを歌い、マルグリットも死んでしまいそうなほどのファウストへの愛を歌い、メフィストフェレスは、ファウストを手に入れられる喜びを歌う。
ジョルダーニ、グラハム、レリエーという3人が、がっぷり四つに組んでいて、その迫力にとても惹かれるものがあり、ここのシーンは何度も聴いてしまいます。

この第3部は、私にとって聴き応えがある曲が並び、全体で最も好きな部分です。

<第4部>
マルグリットのもう一つの聞かせ場、ロマンス「激しい炎のような恋」。
この曲は、シューベルトの歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」と同じ内容なのですね。
私は、こちらのベルリオーズの音楽のほうが好きです。
オーボエ(かな?)イングリッシュ・ホルンのソロパートが胸を打ちます。
涙なしでは聴けません。グラハム、素晴らしかった~。

ここでの演出も素晴らしく、グラハムの後ろに、彼女の顔のアップが映し出されます。
それも、今、まさに歌っている彼女そのものが映るのです。だから、表情も変化します。
そして、とても印象に残ったのは、その映像のマルグリットが炎で焼かれていく様子。
彼女の恋の炎が、彼女自身を焼き尽くしてしまうようでした。
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実際の動きとはびみょ~にずれるので、歌と口の動きが合ってないのが気になると言えば気になりますが、そんなことを吹き飛ばしてくれるような、彼女の歌唱でした。
彼女も、一語一語、言葉をかみしめるように歌うので、フランス語がわからない私にも、マルグリットの気持ちが全身に伝わってきました。

こんなにもマルグリットはファウストを愛しているのに、ファウストのほうは、愛にも喜びを見出せなかったのか、マルグリットと会うことを諦め、自然に癒しを求めるようになります。勝手な男だ~!
マルグリットは、ファウストに会うために、母親を眠らせようと、毎晩薬を盛っていたようなのですが、彼への思いが強くなりすぎた彼女は、ある日薬の量を間違えて母親を死なせてしまい、死刑の宣告を受けることになります。
(Wikipediaによると、原作では、母親はファウストによって殺され、マルグリットはファウストとの間にもうけた嬰児を殺した罪で死刑になるようです。)

メフィストフェレスからマルグリットが死刑になることを聞いたファウストは、彼女を助けに行く決心をします。
しかし、メフィストフェレスから、「明日からは私に仕えてもらいたい」と言われ、その悪魔の契約に署名。
ここでのファウストとメフィストフェレスとのやりとりの際、とても興味深かったのが、2人の背後に映された、たくさんの樹木。
初めは、美しい葉がたわわについているのですが、メフィストフェレスが歩くにしたがって、彼が歩いたところの木だけが枯れていくのです!!
そして、ファウストが悪魔の契約に署名すると、彼の歩いた部分も枯れ木となりました。
ファウストが悪魔のものになったことを意味するようで、とても面白いと感じました。

2人は馬に乗って旅立ちます。
ファウストは、マルグリットを助けるための旅だと思っていますが、実はこれは地獄への騎行だったのです!

ここの音楽、上手いですね~。弦楽器群が、馬が駆ける様子を絶妙に描写します。
恐ろしい情景に怯えるファウストに、「それでは戻ろう!」とメフィストフェレスが言い、馬が減速していくところも上手い~!
演出も負けていません。スクリーンには、ファウストとメフィストフェレスが馬に乗って走っていく様子が映し出されます。
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メフィストフェレスは、Hop!hop!(馬への“はいどお!”という掛け声のようなもの?)と叫びますが、これって、歌い方によってはお笑いになりそう・・・・。
でも、レリエーは上手かったので、そんなことにはならず、やっぱりカッコいいのでありました~。

とうとうファウストは地獄へ!
「私の勝ちだーー!」と叫ぶメフィストフェレス。ここ、すんごい迫力でゾクッっときました。
ラジオでは、豪快に笑っていましたが、この日はどうだったかなぁ?記憶にない・・・。
ファウストが地獄へ落ちていくシーンの演出は、本当にすごい迫力で、今でも目に焼きついています。

ここで、悪魔達の大合唱があるのですが、なぜ皆さん裸なの?
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思いっきり、ふつーの人じゃないですか・・・・。
例えば、黒装束で顔まで隠すとか。そういうのは当たり前すぎて面白くない?そうですかい。
でもな~、ふつーのおっさんにしか見えないってのはどうなんでしょ・・・・。

でも、ここでの男声合唱は迫力があって素晴らしく、鳥肌もんでした。
彼らが歌う呪文のような言葉は、そのまま字幕でも訳されずカタカナ表記でしたが、意味はないってことでしょうか。
悪魔の言葉ということなのかな?
ちょっと「幻想交響曲」の“ワルプルギスの夜”に似てるなーって思いました。

<エピローグ>
天国から、マルグリットを呼ぶ合唱が聞こえてきます。
ここでの女声合唱は、もうちょっと頑張って欲しいかなーという気もしましたが、一番てっぺんにいるボーイソプラノの天使たちが、「Margarita!」と歌うと、本当に天使の声のようで涙腺がゆるんでしまいました。
ここは、ソプラノ・ソロと書いてありましたが、ボーイソプラノに歌わせて大正解ではないでしょうか。
「フランダースの犬」最終回を思い出してしまいましたよ~←例えが貧困ですんません。

やがて、梯子=天国への階段をマルグリットが一歩ずつ昇っていきます。
その彼女の表情がまた素晴らしく、また涙してしまうのでありました。
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「ファウスト」という長大で難解な作品。
このように、コンパクトな音楽作品に仕上げてもらえると、なんだか急に身近なものになったように思います。
グノーの「ファウスト」も素晴らしいですが、こちらのほうがハイライトシーンの連続で、私にはわかりやすかったです。
上演時間も短いし(笑)

見終わって、「もう一度見に行きたい!」と思いましたが、仕事のスケジュール上無理でした。
DVD化を切に切に願います!!

なお、最後になりましたが、この作品を見るにあたり、オペラ対訳プロジェクトさんが大変参考になりました。
どうもありがとうございました。

この記事へのコメント

Madokakip
2008年12月20日 04:54
素晴らしいレポ、ありがとうございます。
まるで最初から最後までもう一度あの公演を観たような気持ちです。早速、”気持玉”もクリックさせていただきました。
>「フランダースの犬」最終回
わかります、わかります!
四部のマルグリートのロマンスのソロの楽器は確かイングリッシュ・ホルンで、トリスタンとイゾルデのソロの時と同じ演奏者が吹いていたと思います。
彼の音色と演奏は私も大好きなんです!
せり
2008年12月20日 09:15
私も最後の日にやっと見ることができました。
とっても素晴らしい舞台で、是非とももう一度見てみたいから、日本で放送してほしいものです。
幕間のレリエの話す声、低音でステキでしたね!
2008年12月20日 22:39
☆Madokakipさん
“気持玉”!こんなのができてたんだ!?今、初めて知りました
早速のクリック、ありがとうございます!

>四部のマルグリートのロマンスのソロの楽器は確かイングリッシュ・ホルンで

やはりそうでしたか~。
オーボエにしては、チャルメラ的音色が薄いなーと思っていたのです。
記事のほうも訂正しておきます。ありがとうございました。
暖かい音色ですよね。
2008年12月20日 22:42
☆せりさん
間に合って良かったです!
そして、気に入ってくださったようで、私も嬉しいです。
DVD化ももちろんですが、またNHKさんにも放送をお願いしたいですね。

>幕間のレリエの話す声、低音でステキでしたね!

ですよね~
ラジオでは何度も聞いていたんですが、やっぱり姿を見て聞くと、さらにステキ度が増します♪
セシリア
2008年12月25日 09:08
娑羅さん、お久しぶりです。 私も11月半ばに観ました。 ハイテクとアクロバットが混じった演出でしたが、意外とすんなり受け入れられました。 実際の舞台だと十字架上のキリストたちのほか、馬で疾走する場面でもロープでつるされた生身のスタントマン?が映像の馬にまたがっていくので、遠目には疾走する様子が一体化してみえる演出でした。 次は何が起こるのか、そっちのほうに気をとられて、あまり音楽に集中できなかったと思うのですが、それでもベルリオーズの音楽よかったです^^。

レリエーはもちろん本領発揮で言うことなし。 特にグラアムの歌唱は、娑羅さんと同じく、心に残りました。 
2008年12月26日 00:13
セシリアさん、お久しぶりです!お元気でしたか?
セシリアさんも御覧になったのですね♪
音楽、良かったですよね~。
私は初め、ラジオ録音から入ったのですが、音楽だけでも魅了されましたもん。
それにあのハイテク演出ですから、ライブビューイングは大興奮でした。

>レリエーはもちろん本領発揮で言うことなし。

ふふふ~
声だけ聴いていてもすんごかったのに、あの演技ですからね~。
もしかしたら、彼の最大の当たり役になるかも!?ですね。