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zoom RSS 【CD】ホロストフスキー 戦争、平和、愛、悲しみを歌う

<<   作成日時 : 2016/10/06 23:42   >>

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<演 奏>
バリトン:Dmitri Hvorostovsky(ディミトリー・ホロストフスキー)

ソプラノ:Asmik Grigorian(アスミク・グリゴリアン)
メゾ・ソプラノ:Irina Shishkova(イリーナ・シシュコヴァ)
バス:Mikhail Guzhov(ミハイル・グズホフ)
バリトン:Igor Morozov(イゴール・モロゾフ)
カウンターテナー:Vadim Volkov(ヴァディム・モロゾフ)

ヘリコン・オペラ合唱団
ロシア国立交響楽団
指揮:コンスタンティン・オルベリアン(指揮)

<曲 目>
◆プロコフィエフ:歌劇『戦争と平和』より第1場

この場面は、昨年(2015年)暮れにモスクワで行ったコンサートでも披露されました。
このコンサートはその後ネット上にも流れ、10数年ぶりに聴いたDima(=ホロストフスキー)のアンドレイにうっとりでした。

そして、さらに今回のCD収録!
Dima=アンドレイは、また一段と素敵になって帰ってきました!

今回、CDを聴く前にNHKで放送されたキーロフ・オペラ(現・マリインスキー)来日公演(2003年)の録画を見直しました。

この頃のDimaって太ってたんですね!
当然のことながら若いし、すごくカワイイ
しかし、今見ると演技が・・・あんまり・・・上手くない

若い頃は「大根」と揶揄されたこともありましたが、さもありなん・・・・。
しかし!その初々しさ(いや、当時41歳でそれはいかんのだが・・・)が、また当時のDimaの魅力だったんだよね〜と懐かしく見させてもらいました♪

そして、今回の録音。

13年前の来日公演では声の美しさが際立っていて、「この美声、現在でも再現できているのか?」とやや心配だったのですが、やっぱりだてに年はとってませんね!

表現力がぐっと多彩になりました。
言い方は悪いですが、今回と比べると、13年前の歌唱は美声にのっかってしまっているという感じ。
53歳のアンドレイは声も深みが増して味わいがあり、改めて彼の美しい声とレガートの魅力に惚れ直しました

Dimaというとオネーギンが代表作のように言われますが(いや、実際そうなんですが)、私はこのアンドレイも適役だと思っており、今回の録音を聴いて更にその思いを強くしました。

オネーギンもそうなんですが、世の中を冷めた目で見てるところ、人生に希望を見出せないところの表現がとても上手い。
特にこの幕開きの場面は音楽が美しく、Dimaにすごく合っているし、私も大好きな場面です。

そして、彼がロシアものを歌うと作品の美しさが際立ちますし、身体に流れるロシアの血がそうさせるのか、やっぱり彼はロシア人なんだな・・・と納得させられます。

ナターシャを歌ったのはアスミック・グリゴリアン。
先に述べた来日公演「戦争と平和」でピエールを歌ったゲガム・グリゴリアンのお嬢さんで、Dimaとは昨年1〜2月の「デーモン」でも共演しています。

「デーモン」の時はやや荒削りの印象ながら、強い声が印象的だった記憶があるのですが、このナターシャは柔らかく透明感のある美声で驚きました。

先にゲルギエフ指揮の映像を見てしまったため、オケはやや表現に乏しく平坦な印象。

こっそり2003年の来日公演から、幕開きの場面を貼っておきます♪



◆チャイコフスキー:歌劇『マゼッパ』よりマゼッパのアリア

これは聴きものですね〜!

Dimaが歌うこのマゼッパのアリアは、デビューアルバムや2004年ロンドンでのリサイタルの録音を持っていますが、歌詞の意味はおろか、オペラの内容も知らずに聴いていました

派手さはありませんが、よく味わうとチャイコフスキーらしさがあちこちに感じられ、マゼッパは老人とはいえ、一人の女性をひたむきに愛する気持ちが伝わる曲です。

久しぶりに聴きましたが、これもDimaに合った美しい曲ですね。
「マゼッパ」自体がオペラハウスで上演されることは少ないでしょうから、是非とも今後コンサートピースの1曲として、頻繁に歌っていただきたい!

なんなら、オペラの舞台でマゼッパ役もデビューしていただいて・・・と言いたいところですが、あらすじ読むとマゼッパってものすごい悪いヤツなんですね・・・

愛する女性のお父さんは処刑しちゃうし、正気を失った彼女は置き去りにしちゃうし!
誰のせいでおかしくなったと思ってるんや!
こんな悪いヤツをご贔屓さんに演じさせるのはちょっと・・・いや、見てみたいかも!?

そんな悪党がこんな美しい愛の歌を歌うのか・・・

◆ チャイコフスキー:歌劇『イオランタ』よりロベルトのアリア

この曲はすっごい若い時に録音したものを聴いたっきりでしたが、去年の秋にガランチャとのコンサートで久しぶりに披露してます。

久しぶりのロベルトは、若かりし頃より少し落ち着いた印象ですが、やっぱりレガートがとても美しく、最後の高音も伸びやかで素晴らしかったです。

前奏はロベルトの若さを表すかのように、もう少し勢いがほしかった!

◆チャイコフスキー:歌劇『スペードの女王』よりトムスキーのバラード、トムスキーの歌

「スペードの女王」といえばDimaの役はエレツキー!だったのですが、近年コンサートではトムスキーのバラードを歌うことがめっきり多くなりました。
今回はそのバラードと、終幕にやはりトムスキーが歌う"Yesli b milye devitsy"(=If cute girls)を収録。

まずバラードのほう。
「スペードの女王」と噂される伯爵夫人のエピソードを披露する歌で、このオペラのテーマでもある大事なシーンです。
ドラマ性の強い音楽で、先に聴いたアンドレイ、ロベルト、マゼッパの歌とは一線を画します。

ずいぶん前の"Opera News"でのインタビューで、「エレツキーよりトムスキーのほうが楽しいし、今後はそっちを歌うんじゃないかなぁ。」なんて語っていたこともありますが、それからしばらくはずっとエレツキーを歌ってました(笑)
ここにきて、ようやくトムスキーが実現。

コンサートで歌ってるビデオを見ていると、楽しそうに演じているし、すごくこの曲が似合ってきたなと思えたんですが、今回の録音はやや大人しいかな?

これだけドラマチックなエピソードを披露しているんだから、Dimaならもっと声色を変えたり、多彩な表現ができたと思うので少々残念。

私はこの曲大好きなので、いつかDimaのコンサートで生で聴けたら嬉しいな

そしてトムスキーの2曲目。
こちらはDimaで聴くのは初めて。
「スペードの女王」は全幕でも見ているんですが、この曲の印象がない・・・。

ストーリーとは特に関係なく、場を盛り上げる陽気な1曲です。
こういう、ちょっとふざけた感じの曲を歌うには、Dimaの声はやや立派すぎる感じがしますね
これも、もう少し遊びがあってもいいかな〜。

◆ルビンシテイン:歌劇『悪魔』より第6場

さて、CDのハイライトは間違いなくこの「デーモン」。

2015年1月末と2月初めの3日間、Dimaはモスクワーで「デーモン」のロールデビューを果たしました。
ロシアではTV放送もあり、私もいちおう拝見しましたが、なんせ字幕がありませんから、あらすじ本を片手にストーリーを追うのが精いっぱいでした

今回、とりあえず英語訳はついていたので、それを自分にしかわからない和訳メモ(つまりいい加減な訳)を作り、それを片手に聴いてみました。

まず驚いたのはタマラのアスミックちゃん。
モスクワでの「デーモン」の時よりずっと繊細で儚げ〜。
触れると消えてしまいそうじゃありませんか・・・。

やっぱり舞台で歌う時は声を張り上げちゃうのかなぁ?
CDはスタジオ録音ですしね。
今回のほうが清純な乙女って感じがする〜。
初めは強くデーモンを拒否しつつ、だんだん心を開き、弱っていく様子がよく伝わりました。

Dimaの歌いだし・・・あれ?この曲知ってるよ。どこで聴いたんだっけ・・・?

そう、2003年に東京でリサイタルをした際、「デーモン」から3曲まとめて披露していたんです。
昔のCDにも3曲入れていますが、最近はこの最後の曲はほとんど歌っていないと思います。

当たり前のことなんですが、やっぱり役を演じてますね〜。
今までの曲と声の雰囲気が違う。
なんといっても人間じゃないですからね・・・難しい。

しかし、ここまで熱烈に愛してくれ!と想いをぶつける役は珍しいのでは?
タマラはずっと嫌がってるし、最後のほうなんかストーカーさながらのしつこさですよ

でもね・・・Dimaが演じるとストーカーでも素敵!
タマラちゃんはなんで拒否するのかしら!?

物語が佳境に入ってくると、音楽はこの上なくロマンチックになり、美しいメロディーにDimaの美しい声とレガートが見事に調和します。

個人的にはもっと音楽に情熱的に盛り上がってほしいのですが、期待していると収まってしまうのが残念。
このへんがあまり上演されない理由でしょうか。

Dimaはロマンチックな部分を持ってる人なのではないでしょうか?勝手な想像ですが。
歌曲の選曲もロマンチックなものが多いし、そういう曲がピタリとハマりますし。

まそれならなんでエレツキーからトムスキーになったのか・・・は謎ですが
ま、ロマンチックだけではつまらないでしょうけど。

滅多に上演されない作品ですが、いつかMETなんかの、ちゃんとしたオペラの舞台で歌ってほしい役の一つです。

最後に、モスクワでのセミステージ形式の「デーモン」から、このCDに収録されている第6場を貼っておきます。
やっぱり演技付きはいいですね!




[録音:2015年10月 モスフィルム・スタジオ(モスクワ)]



Various: Songs of War & Peace
Delos Records
2016-08-12
Prokofiev

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
沙羅さん、レビュー待ってました〜♩ このCD、中々楽しかったです♩ アンドレイ、もう一回くらいチャンスあると良いんですが・・・あれ、300人くらいエキストラ使う超大作だから、何年に一度、という感じですが。 内容的にはマゼッパが良いなあと思いました。 そう、こんな美しいアリアだけど、実は悪者のお爺さんなのね?? それならこの先、全幕のチャンスは有りか?トムスキー、狂言回し的で面白い役なんですけどね、テーブルに脚をどか〜んと上げてギャンプル中、みたいな(笑)。 ちょっと観てみたいですが、存在感あり過ぎかも、ですね? デーモン、グレゴリアンさんのお嬢様と組んでデビューは、感無量ですね♩ モスクワの公演、演出とか衣装無しで、さっぱりコンサート形式でやって欲しかった、映像残りましたし。 このCD聴いて、ちょっとベルディからロシア物へシフトの予感!です♩ 
花宴
2016/10/07 01:15
◆花宴さん
遅くなりました〜

うん、このCDいいですよ!
一度きちんと聴いたので、今はPCやってる時のBGMとして流してますが、何度もリピートしちゃってます♪

これから本舞台で演じるとしたら、やっぱりマゼッパが年齢的にも最適でしょうか。
でも、アンドレイもトムスキーもコンサートではじゃんじゃん歌っていただきたい!

そして、デーモンはやっぱり一度きちんとオペラハウスでやってもらいたいな〜

ヴェルディを歌うDimaももちろん素敵だし、本人も大好きなんでしょうが、やっぱり身体に流れる血はロシア人なんでしょうね。
何とも言えない魅力が引き出されるんですよね〜。
Dimaが歌えば、マイナーなロシア・オペラも評価が変わるのでは?
娑羅
2016/10/07 23:40

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