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2008年12月2日(火)午後6時半開演 会場:フェスティバルホール(大阪) <出 演> オネーギン:イリ・イェリネク レンスキー:フリーデマン・フォーゲル ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム タチヤーナ:アリシア・アマトリアン オリガ:カーチャ・ヴュンシュ 乳母:ルドミラ・ボガード グレーミン公爵:ダミアーノ・ペテネッラ 親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:シュツットガルト・バレエ団 <音 楽>チャイコフスキー(編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ) <装置・衣装>ユルゲン・ローゼ <振 付>ジョン・クランコ <指 揮>ジェームズ・タグル <管弦楽>東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 このクランコの「オネーギン」は、「ロメオとジュリエット」と並んで、最も美しいバレエ作品だと思うのですが、日本ではロメ・ジュリほどポピュラーではありません。 しかし、今回のシュツットガルト・バレエによる来日公演で、この作品を愛する人が確実に増えたことでしょう! 実際、ブログなどを拝見する限り、東京公演の評判もかなりいいようですし、今回の大阪公演でも、終演後、あちこちから、「良かったね!」「本当に素晴らしかった!」と感動する声が聞こえてきました。 私が初めてこの作品を観たのは3年前。(その時の感想はこちら) 当時、既にオペラによって「エフゲニー・オネーギン」という作品に惹かれていたので、バレエでも是非観たいと思い、平日の東京公演だというのに、無理をして京都から行ったのですが、大変美しい作品で、バレエでも魅了されました。 それが、今度は大阪でも上演されるとのこと!(大阪での「オネーギン」の上演は、21年ぶりだそうです。) またしても平日でしたが、今度は泊まらなくてもいいし、なんとかスケジュールの都合をつけて行ってきました。 今回は、前回観た時と主要キャストが全員替わっているので、ちょっと心配でもあったのですが、さすがに本家本元のシュツットガルト・バレエ団。 期待を裏切ることはありませんでした。 <第1幕第1場:ラーリナ夫人邸の庭> 幕が開いてまず目に留まったのは、ヴュンシュのオリガ。 1幕1場はほとんど踊りっぱなし、2幕1場でもよく踊っていました。 オペラのオリガよりも、ずっと見せ場があり、印象に残ります。 ヴュンシュはテクニックも安定していたし、無邪気な明るい女の子って感じで、物静かなタチヤーナとの対称がよく出ていました。 ところで、ラーリナ夫人と乳母を演じた2人は、3年前に観に行った時と同じ人でした。 なぜか、カーテンコールには現れなくて残念。 たとえ踊るシーンはなくとも、彼女達のような脇役がしっかり固めてくれるから、こちらもストーリーに入り込めるんだし、カーテンコールには出て来て欲しかったなぁ。 タチヤーナを踊ったアマトリアンは、スペインの出身ということで、初めはタチヤーナのイメージに合うか心配していたのですが、バレエ版「オネーギン」に関しては、ロシア人かそうでないかなんてことは、全く関係ないですね。 彼女が、読んでいた本から顔をあげた瞬間、“今日のタチヤーナはイケる!”と確信。 なんと言えばいいのか・・・・触れると消えてしまいそうな、儚さが漂い、夢見がちなロマンチックな少女そのものでした。 レンスキーとオネーギンの登場。 いや〜、レンスキーのフォーゲル君は美しいね〜♪ オペラのレンスキーって、オネーギンの引き立て役みたいで、なぜか野暮ったく演出されてることが多いんだけど、原作では“男盛りの美丈夫”なんだから、こうでないとね。 2幕での、オリガをめぐってのオネーギンとのケンカシーンは、とても切なくなりました。 決闘前のソロも泣けた。レンスキー、本当にかわいそう・・・・。 オネーギンについてはうるさいわよぉ〜と思っていたんだけど、イェリネクはめっちゃ良かった! 後ろ姿で登場するオネーギンだけど、全身黒ずくめのシルエットから漂ってくる雰囲気から、既にオネーギン!って感じで。 タチヤーナが読んでる本をチラッと見て、ふふんって感じで鼻で笑うようなところも良かった。 ところで、NBS NEWSに載っていた、イェリネクの言葉は、この作品のキーとも言える大事な言葉でした。 「オネーギンのことを悪い男だという人がいますが、僕に言わせればそれは完全に勘違い。クランコ版の年齢設定では、35歳ぐらいの男性に17歳ぐらいの少女が恋をするわけですが、そんなこと現実にうまくいきっこない。これは悪意ではなくリアリティ。だから彼は最初、タチヤーナを拒絶するしか選択肢がないんです。」 そうそう、「オネーギンは悪い男ではない」。私もそう思います。 ただ、イェリネクは、最後のタチヤーナの選択を“間違い”と捉えているようでした。 つまり、自分の心に従わなかったタチヤーナは、自分から悲劇を招いている・・と。 これには、個人的にはちょっと賛同できませんでしたが。 このタチヤーナの気高さこそが、ロシア人の憧れの女性だと、私は思っているので。 さらに、第3幕は原作とは異なり、10年以上の歳月が流れている設定で、オネーギンは50近く、タチヤーナは30代半ばなんだとか! う〜む・・・だから、終幕のオネーギンは髭を生やして、ちょっと老けたような印象があるのか・・・・。 しかし、50前の男性と30代半ばの人妻なんて、昼メロみたいだなぁ・・・・。 うちの母は、「この年齢設定のほうが納得できる」と言っていたけど、私はオネーギンもタチヤーナも、若いほうがいいなぁ。 <第1幕第2場:タチヤーナの寝室> オペラでも白眉のシーンである、タチヤーナの手紙の場。 言葉を使えないバレエでは、タチヤーナの夢の中にオネーギンが現れ、2人の美しいパ・ド・ドゥがくり広げられます。 1幕1場で、オリガとタチヤーナが鏡を覗き込むシーンがあるのですが、古くから伝わる遊びで、鏡を覗くと、自分の未来の恋人が現れる・・というのだとか。 オリガの時はレンスキーが、タチヤーナの時はオネーギンが、それぞれ彼女達の後ろから近づき、鏡に映りこむ・・という演出でした。 なので、この2場でも、オネーギンは等身大の鏡の中から現れます。 このパ・ド・ドゥが本当に素晴らしくて、涙もんでございました。 また音楽が素敵なのですが、このメロディーは、終幕のパ・ド・ドゥでも流れるので、それを知っていると、余計に切なくなってしまいます。 ここでのアマトリアンは、身体能力の高さを見せつけてくれました。 ダイナミックなリフトが、いとも軽々と簡単に決まるのは、イェリネクのサポート力もさることながら、彼女の驚異的な身体能力によるところも大きいのではないでしょうか。 それに、とても身体が柔らかい! それも、ぐにゃぐにゃした柔らかさではなく、支えがしっかりしていて、安定感抜群。 イェリネクも負けてません。 ダイナミックなジャンプ、サポートの自然さ。素敵でした。 これだけ難しいリフが連続するパ・ド・ドゥを、流れるように自然に見せてくれた2人に、感動しまくりでした。 <第2幕第1場:タチヤーナの名の日の祝い> このバレエ「オネーギン」という作品を創った、ジョン・クランコという人は、南アフリカの生まれで、ロシア人ではないのですが、お国のロシアで「オネーギン」はバレエ化されていないのでしょうか。 例えば、「スペードの女王」も、フランス人のローラン・プティの手によってバレエ化されているものがポピュラーで、ロシアのコリオグラファーがバレエ化しているのか、定かではありません。 (ただ、この「スペードの女王」は、初演したバリシニコフが“ロシア的ではない”と批判したことから、プティと衝突したというエピソードもあるようですが。) 仮名手本忠臣蔵をバレエ化した「ザ・カブキ」。 これも、フランス人のモーリス・べジャールの手によってバレエ化されたもの。 このように、お国の人間ではなく、外国人がその国の代表作とも言える作品をバレエ化しているものが多いというのは、なかなか興味深いです。 で、何が言いたいかというと、1幕と2幕の少女達の衣装が、バストのすぐ下をリボンで結んだ、当時ロシアで流行していた衣装だったことが嬉しかったのです。 マリインスキー・オペラの「戦争と平和」でも、ナターシャはこのタイプの衣装を着ていましたし、ソ連映画のオペラ「エフゲニー・オネーギン」でも、タチヤーナが着ていました。 このドレスを見ると、あ〜、ロシアの女の子だ〜と思うのであります。 さてさて、オペラでも、この場面はとても見るのが苦しいところなのでありますが、バレエはもっと残酷であります。 オネーギンは、こともあろうか、タチヤーナの名の日の祝いの席で、彼女に手紙を返すのであります。 彼女が思いのたけを綴った、あの手紙を! しかし、タチヤーナも、「そうですか」と受け取るわけにはいきません。 押し問答をしていると、なんと!オネーギン、その手紙を破くではありませんか〜〜〜! この時ばかりは、オネーギン許せん!と怒り心頭になります。 バレエ版「オネーギン」、ここでグレーミン公爵が登場し、この人が、タチヤーナの旦那になるのね・・・と、観客にもわかります。 退屈極まりないオネーギン、オリガをダンスに誘い、踊りまくります。 レンスキーがオリガを連れて行こうとしても、無理やり彼女を奪い取り、かなり強引。 レンスキー君、ブチ切れてオネーギンにビンタ!はげしぃ〜〜〜! さすがに、言葉のないバレエ。やる時は徹底的にやります。 でも、このシーンのレンスキー切なかった〜。いいシーンだった・・・(涙) <第2幕第2場:決闘の場> オペラでは、ここでレンスキーの有名なアリア「青春は遠く過ぎ去り」が歌われるわけですが、バレエでもレンスキーの悲痛なソロが踊られます。 タチヤーナの手紙の場面、そして、このレンスキーのアリア。 クランコが、オペラ版と同じ見せ場を、きちんと踊りで表現していることに、この作品への敬意を感じます。 オペラと違い、決闘を待つレンスキーのところに、タチヤーナとオリガが現れ、必死に決闘を止めようとします。 しかし、レンスキーはオリガを突き飛ばし、タチヤーナへも丁寧に頭を下げ、決闘へと向かいます。 私は、オペラのように、男性だけの場面にしてほしいと思うのですが、一緒に観に行った母は、「このほうがわかりやすい。2人で止めようとしても無駄だった・・ということがわかるから。」と言っていたので、それもありなのかもしれません。 <第3幕第1場:サンクト・ペテルブルク> タチヤーナがグレーミン公爵と登場。 うん?タチヤーナ、確かにきれいなドレスを着て、公爵夫人になっているけど、表情が少女時代とあまり変わらないような・・・・。 とても優しい笑顔、そして儚さは1幕のタチヤーナと、あまり変化はありません。 これはこれで印象的でしたが、“オネーギンが驚くほどの変貌振り”という設定には、いささか説得力が欠けるようにも思いました。 <第3幕第2場:タチヤーナの私室> オペラと同様、オネーギンとタチヤーナの激しい感情の嵐が吹き荒れる、涙無しでは見られないパ・ド・ドゥ。 ここで印象に残るのは、オネーギンからの手紙を読んで、心が揺れ動いているタチヤーナの元に、夫のグレーミン公爵がやってくる場面。 (ここでのグレーミン公爵、軍服&コート姿がすごくきまっていて、めちゃめちゃ素敵でした!) 今、夫の留守中にオネーギンがやってきては、自分はどうなるかわからない・・・彼女はグレーミンに、「今夜は一人にしないで」と懇願します。 このへん、バレエでは言葉がない分、タチヤーナの心の揺れを表すのに、すごく上手い演出だと思います。 オネーギン登場。 必死で自分のものにしようとするオネーギンと、凛として拒絶するタチヤーナ。 ここでのアマトリアン&イェリネクも、さすがに踊りこんでいるだけあって、本当に素晴らしかったのですが、私の中では、昨夏見た、ルグリとルディエールの踊りを超えることはできませんでした。 ルグリとルディエールは、全幕ではなく、この場面だけを踊ったのですが、かえって、一場面だけを取り出して踊るのって難しいと思うんですよね。 全幕を通して踊っていれば、自然と感情移入もできるかもしれませんが、この場面のテンションに持っていくのは、並外れた集中力が必要でしょう。 それを、あの時の2人はやってのけた。しかも、これ以上ないというほどの名演。 アマトリアンのタチヤーナは、先ほども書いたように、まだ少女の面影が残っているのです。とても優しいのです。 凛とした態度で拒絶する・・・というよりは、「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝っているような雰囲気。 それはそれで心に残り、きっと、先に彼女のタチヤーナを観ていれば、もっと感動したと思うのですが、いかんせん・・・ルディエールが完璧すぎた・・・・・。 決して、アマトリアンが悪いのではないのです。彼女の雰囲気も、私はすごく好きでした。 そして、イェリネクのオネーギンも。 オネーギンだけ見れば、全体的には、私はルグリの時よりも印象に残ったぐらいです。 イェリネクのオネーギンは、すごく自然に呼吸していて、わざとらしさがない。 音楽は、オペラ「エフゲニー・オネーギン」の曲は一切使わず、チャイコフスキーのほかの曲を繋ぎ合わせて作られているのですが、さすがにチャイコ。美しい音楽の数々で、涙腺がゆるみっぱなし。 さらに、クランコの選曲が素晴らしい。 いろいろ調べてみたのですが、オペラ「チェレヴィチキ」という作品から、多く使われていることがわかりました。 こうなると、このオペラも見てみたくなりますね♪ 今回観たシュツットガルト・バレエ団の映像ではないのですが、ウィーン国立歌劇場バレエ団による、クランコの「オネーギン」のプロモがYou Tubeにありましたので、貼らせていただきます。 バレエ版「オネーギン」を御覧になって感動した方々に、オペラ版「エフゲニー・オネーギン」も見ていただきたい・・と思うのですが、カーテンコールにずらっと並んだ、美しいダンサー達を見て、「無理かもなぁ・・・」と思ってしまいました ![]() オペラ歌手も美しくなりましたが、バレエダンサーの美しさには・・・・・。 彼らは夢の世界の人のようですわ・・・・。 でも、私がハマるのはオペラ歌手なんですけどね(笑) いちおう、私のお薦めのオペラ版DVDをご紹介させていただきます。←そこ、笑わない笑わない。 チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」 [DVD] ユニバーサルクラシック 2008-01-23 メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ユーザレビュー: すばらしすぎるこのオ ... 本当に美しくて劇的ロ ...Amazonアソシエイト by ウェブリブログ |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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私、このシュツットガルトの「オネーギン」は本当にカンパニーにピッタリだと思いました。ダンサー達の表現もダンスの技術もしっかりしていて、気がそがれることが一度もなかったのは凄いと思います。 |
yol 2008/12/07 20:11 |
こんばんは。いつも拝読させていただいております。 |
Sheva 2008/12/07 21:25 |
当サイトはこちらです。http://plaza.rakuten.co.jp/syeva/ |
Sheva 2008/12/07 21:27 |
☆yolさん |
娑羅 2008/12/07 23:47 |
こんばんは!お言葉に甘えましてこの記事をリンク貼らせていただきました。記事が新規追加されるとリンクが変わってしまうんでしょうか? |
Sheva 2008/12/08 20:37 |
☆Shevaさん |
娑羅 2008/12/08 23:10 |
禁止ドメインを設定していたためかと思います。 |
Sheva 2008/12/10 06:38 |
「明るい小川」、東京公演始まったんですね! |
娑羅 2008/12/10 18:27 |
娑羅さまはじめまして。 |
きょん 2008/12/14 21:47 |
きょんさん、初めまして。コメントありがとうございます。 |
娑羅 2008/12/15 00:52 |
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